「顔の中へ」
この顔は自分にしか見えていまい、 それだけが面白くて人を描いてきた。 いま三十を過ぎて、これまでの足取りを思い返してみると、 記憶の中は無数の顔でひめきあっている。 僕はたくさんの顔に育てられてきたようだ。 顔はその人の性格であり、肉の鏡である。 人を描き続けていくことで、 ひとつの大きな自画像が表れればと考えている。