「交差点」

ごあいさつ

今年始めた「焼き絵」がなんとなくフレームを焼くことに落ち着きつつあります。
僕らはこれを絵の土佐づくりなんてふざけて呼んでるのですが、
確かに焼かないより焼いた方が見た目がしまり香ばしくなるような気もします。
でも焼かれた縁を持つ絵はただ美味しくなるお魚と違って
内と外とに緊張感が生まれます。

そんな時、縁の内側に描くべきものは何か？
美しいものか、平穏なものか、くだらないものか。

まさに今　疫病に囲まれた内側で僕たちが見る夢は？
武装勢力に囲まれたカブールの市民が見る夢は？
理不尽と矛盾と変化に囲まれて描く絵は？

今回は焼かれたフレームの中で無心に存在するオヤジ達を中心に、
さまざまな動物、文明の切れ端、そしてさらに
フレームをコマで割ったマンガ風の作品も加えてみました。
どうぞお楽しみください。

しりあがり 寿

　
1958年静岡市生まれ。1981年多摩美術大学グラフィックデザイン専攻卒業後

キリンビール株式会社に入社し、パッケージデザイン、広告宣伝等を担当。

1985年単行本『エレキな春』で漫画家としてデビュー。

パロディーを中心にした新しいタイプのギャグマンガ家として注目を浴びる。

1994年独立後は、幻想的あるいは文学的な作品など次々に発表、新聞の風刺4コ

ママンガから長編ストーリーマンガ、アンダーグラウンドマンガなど様々なジャ

ンルで独自な活動を続ける一方、近年では映像、アートなどマンガ以外の多方面

に創作の幅を広げている。