植物をモチーフにその生長の躍動と衰えを観察し、自然における
生命意識の表現を試みている。 中国には人間の精神と自然が融合
する表現として、「気韻生動」という美学的概念がある。

植物=自然の事物の中に存在する生命意識である「気」とそれを感知
する人間精神たる「気」、その感覚を表現する感性的形式である「韻」、
これらの融合を現代的な陶造形によって試みる。

「気韻」は、陶造形における「造形」と「加飾」を通じて表現される。
植物の中に感じられる形を持たない生命リズムに動的な形を付与する。
私の陶造形は型起こしと手ひねりの手法で形成される。

表面 部分的にコンプレッサーで釉薬を吹きかけることとサンドペーパー
を磨くことを組み合わせる手法を中 心としつつ、化粧土や釉薬、色土
などを複合的に組み合わせながら有機体の表面のテクスチャーを 再現
し、造形と調和させることによって、陶の「生命感」を表現している。

そこに現れるものは、儒教、 仏教、道教の三教合一の影響を受けた静謐
で、自然的で、たおやかな世界観である。