幼少より加賀友禅（染物）に親しみ、染物の自然な色の重なりや形から
インスピレーションを得て、絵画に応用した。絵の具を垂らし、無作為に
できる色や形の美しさをいかしながら表現している。

2024年1月1日、出身である石川県で能登半島地震が起きた。身近な人た
ちの家がなくなり、状況が一変した。普段の何気ない日常に有難さを感
じ、改めて感謝するようになった。

同じ状況でもどこに意識を置くかで感じ方が変わり、そこから続く生き方
は変わっていく。常にどうしたいのか?と内観することで、より主体的に生
きることができる。

また、自然も人間も、生きとし生けるもの全てが変化し続けている。
世の中の状況が大きく変化し、自然災害などを含めて何が起こるか分から
ない状況の中、限りある命を、意志を持って、変化しながら力強く生きる
人が増えることを願う。作品はそういう意識の気づきになるように、時
間、場所、視点、感じ方が鑑賞者によって変わるように制作している。

今回の展示は、感情や感覚、こころの中の広がりなどをお花や色の重なり
で表現した。こころの中には、明るい部分も暗い部分もすべて受け止め
て、つつみ込んでくれるような優しい空間が広がっている。それは、幾
重にも層のように重なり、どこまでも続いているように感じる。昇り龍
の絵を中心にして、心の花が空間全体に広がっている。

愛の優しいエネルギーが満ち溢れるように願う。